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世界が認めた自然の宝庫 日本だけの生きもの 国際条約

日本の生物多様性
世界が注目する島国の自然

世界有数の自然の宝庫、日本だけにしかいない生きもの、そして自然を守る国際的な取り組み

日本列島は、世界でも類を見ない生物多様性の宝庫です。 南北3,000kmにわたる気候帯、6,800以上の島々、4つのプレートが交差する地形——この地理的条件が、カエルやサンショウウオなど両生類の74%が「日本にしかいない種」という驚くべき多様性を生みました。2010年には生物多様性に関する国際会議(COP10)を名古屋で主催。2022年には「2030年までに国土の30%を自然保全エリアにする」という世界目標に合意し、日本独自の「自然共生サイト」認定制度を始動させています。ikimonは、この豊かな自然を市民の力で記録し、守るためのプラットフォームです。

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八巻 毅

ikimon 代表 / 自然共生サイト認定企業・愛管株式会社パートナー

最終更新: 2026年3月22日

数字で見る日本の生物多様性

36

世界のホットスポット

日本はその1つ

~74%

両生類の固有率

世界有数の高さ

3,716

絶滅危惧種

環境省レッドリスト

30%

2030年保全目標

30by30

なぜ日本は「ホットスポット」なのか

「生物多様性ホットスポット」とは、その地域にしかいない植物が特に多く、なおかつ自然破壊が進んでいる場所のことです。国際的な自然保全団体Conservation International(CI)が定めた概念で、地球の陸地面積のわずか2.5%にあたるこれらの地域に、全陸上脊椎動物種の半数以上が集中しています。世界に36カ所あるうちの1つが、私たちの暮らす日本列島です。

日本列島がホットスポットである理由は、その地理にあります。

南北3,000kmの気候帯

北海道の亜寒帯針葉樹林から沖縄の亜熱帯マングローブまで。年平均気温の差は20℃以上にもなります。

4つの海流の交差点

暖流の黒潮と対馬海流、寒流の親潮とリマン海流。これらが沿岸の生態系に異なる生物相をもたらします。

4つのプレートの衝突

太平洋・フィリピン海・ユーラシア・北米プレートが交差し、複雑な山岳地形と火山列島を形成しています。

6,800以上の島々

島ごとに隔離された進化が起き、固有種・固有亜種が数多く誕生しました。

氷河期に大陸とつながっては離れるという歴史を繰り返すなかで、日本列島には大陸由来の生物が渡来し、隔離された環境で独自の進化を遂げました。こうして、小さな島国に不釣り合いなほど多様な生命が息づくようになったのです。

固有種の宝庫——日本でしか会えない生きものたち

「固有種」とは、世界でその地域にしか生息しない生きもののことです。たとえばオオサンショウウオやニホンカモシカは日本の固有種——地球上で日本でしか会えない生きものです。日本の固有種率は、先進国の中で際立って高い水準にあります。

同じ島国であるイギリスと比べると、その差は歴然です。イギリスの在来哺乳類にはイギリスだけの固有種がほぼおらず、植物でも固有種は数十種程度。一方で日本は哺乳類の約40%が固有種です。なぜこれほど違うのか? イギリスはわずか約8,000年前まで欧州大陸と地続きで、独自の種が進化するには隔離期間が短すぎました。一方の日本列島は、数十万年以上にわたる大陸からの隔離と、南北3,000kmに及ぶ気候の多様性が、爆発的な固有種の誕生を可能にしたのです。

日本にしかいない生きもの——どれくらい多い?

  • 両生類: 約74%が固有種——オオサンショウウオ、アベサンショウウオ、アマミイシカワガエルなど
  • 哺乳類: 約40%が固有種——ニホンカモシカ、アマミノクロウサギ、イリオモテヤマネコなど
  • 維管束植物(木や草花など): 約36%が固有種——約7,000種のうち2,500種以上が日本固有
  • 爬虫類: 約38%が固有種——ミヤコカナヘビ、クロイワトカゲモドキなど

とりわけ南西諸島と小笠原諸島は「東洋のガラパゴス」と呼ばれるほど固有種が集中しています。2021年には奄美大島・徳之島・沖縄島北部・西表島がユネスコ世界自然遺産に登録され、ヤンバルクイナやアマミノクロウサギといった固有種の生息地が国際的にも認められました。

ikimonのポイント:あなたが身近で見つけた生きものが、実は日本の固有種かもしれません。ikimonに記録を投稿すれば、固有種の分布データを研究者と共有し、保全に直接貢献できます。

COP10から30by30へ——日本が世界をリードしてきた歴史

生物多様性の国際的な保全枠組みにおいて、日本は重要な役割を果たしてきました。

1993年

生物多様性条約(CBD=生きものの多様さを守るための国際条約)を批准。保全、持続可能な利用、遺伝資源の公正な利益配分を約束。

2010年 — COP10 名古屋

愛知目標(Aichi Biodiversity Targets)を採択。20の個別目標を掲げ、2020年までの生物多様性保全の世界目標に。名古屋議定書(遺伝資源のアクセスと利益配分)もここで合意。

2012年

生物多様性国家戦略2012-2020を閣議決定。愛知目標の国内実施計画を策定。

2021年

G7で30by30目標を支持。同年、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」がユネスコ世界自然遺産に登録。

2022年 — COP15 モントリオール

昆明モントリオール生物多様性枠組み(GBF)を採択。2030年までに陸と海の30%を保全するTarget 3(30by30)を含む23の目標を設定。

2023年

生物多様性国家戦略2023-2030を閣議決定。「自然共生サイト」認定制度を本格開始し、30by30の国内実施を推進。

2024-2025年

自然共生サイトの認定が420カ所を超える。企業の森林、大学キャンパス、寺社の鎮守の森なども認定対象に。

愛知目標は「概ね未達」という評価でしたが、その経験を踏まえてGBFではより具体的な数値目標と実施手段が盛り込まれました。日本が果たした議長国としての役割は、生物多様性の国際協力の転機となっています。

30by30——日本はどこまで進んでいるか

30by30とは、2030年までに陸域と海域のそれぞれ30%以上を保全地域にするという目標です。日本は現在、陸域の約20.5%が国立公園や自然保護区に指定されています。残り約10%をどう確保するか——そこで鍵となるのがOECM(Other Effective area-based Conservation Measures)、つまり保護区以外の効果的な保全地域です。

自然共生サイト認定制度

  • 環境省が2023年に開始。生物多様性の保全に資する区域を「自然共生サイト」として認定
  • 420カ所以上が認定済み(2025年時点)。企業の森、大学キャンパス、寺社の森、ゴルフ場なども含む
  • 認定サイトはOECMとして国際データベース(WDPA)に登録され、30by30の実績にカウント
  • 企業にとってはTNFD開示におけるポジティブインパクトの実証手段にもなる

この仕組みは、トップダウン(政府の保護区指定)だけでなく、ボトムアップ(企業・自治体・市民の自発的保全)で30%を達成しようとする日本独自のアプローチです。

TNFDと日本企業——自然情報開示の最前線

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)とは、企業が「自分たちの事業が自然にどんな影響を与えているか」を投資家に報告するための国際ルールです。CO2排出量の開示が当たり前になったように、今度は「自然への影響」も開示が求められる時代。2023年に最終提言が公表されました。

日本のTNFD対応状況

  • TNFD早期採用企業(Adopter)数で日本は世界最多(2024年時点、80社以上がAdopter登録)
  • TNFDが推奨するLEAP分析(自然との接点を「見つけて→評価して→分析して→備える」4ステップ)の実施企業も増加中
  • 自然共生サイトの認定取得は、TNFD開示における「ネイチャーポジティブ」への具体的行動の証明に

気候変動対策でESG投資が加速したように、生物多様性でも「自然関連リスクを開示できない企業は投資家から評価されない」時代が到来しています。日本企業がこの分野で世界をリードしていることは、もっと知られてよい事実です。

残された課題——そして市民にできること

日本の生物多様性は確かに豊かですが、同時に大きな危機にも直面しています。環境省のレッドリストには3,716種が絶滅危惧種として掲載されています。

生息地の喪失

都市化、農地転用、里山の管理放棄。原生林は国土の約18%にまで減少しています。

外来種の影響

アライグマ、ヒアリ、セイタカアワダチソウなど。在来種の生存を脅かす外来種が増加しています。

気候変動

サクラの開花前進、サンゴの白化、高山植物の生育域の縮小。温暖化の影響が顕在化しています。

モニタリングの限界

専門家だけでは全国の生態系を監視しきれません。市民科学の力が不可欠です。

こうした課題に対して、市民一人ひとりにできることがあります。身近な公園や里山で生きものを見つけ、写真を撮り、記録する。この何気ない行為が、科学的なデータとなり、保全政策の基盤を支えるのです。

ikimonのポイント:ikimonに投稿された観察データは、種の分布記録として研究者が利用可能です。あなたの「今日見つけた鳥」の1枚が、日本の生物多様性の現状把握に直接貢献しています。

まとめ:世界有数の自然を、次の世代へ

世界36のホットスポットの1つ

南北3,000km、6,800島が生む多様性

両生類の74%、哺乳類の40%が固有種

島国の隔離が生んだ独自の進化

COP10愛知目標 → 30by30 → 自然共生サイト

日本は国際的な保全枠組みの議長国

市民科学で、あなたも保全に参加できる

ikimonの観察データは研究者と共有

よくある質問

Q. 日本はなぜ生物多様性ホットスポットなのですか?
南北約3,000kmにわたる気候帯の多様性、4つのプレートが生む複雑な地形、6,800以上の島々による地理的隔離が、極めて多様な生態系と高い固有種率をもたらしています。Conservation Internationalの基準(固有維管束植物1,500種以上 + 原生植生の70%以上喪失)を満たす世界36カ所のうちの1つです。
Q. 30by30は達成できそうですか?
日本の陸域は現在約20.5%が保護地域です。残り約10%を自然共生サイト(OECM)で補う戦略で、2025年時点で420カ所以上が認定されています。企業の森やゴルフ場、大学キャンパスなど民間の力を活かすアプローチが進んでおり、達成に向けた取り組みは加速しています。
Q. 市民にできる生物多様性保全活動は何ですか?
最も手軽で効果的な方法は「観察データの記録」です。身近な公園や里山で生きものを見つけて写真を撮り、ikimonなどの市民科学プラットフォームに投稿する。このデータが種の分布記録として蓄積され、研究者の保全計画策定に活用されます。専門知識は不要で、スマートフォン1台から始められます。

参考文献

  1. Conservation International. "Biodiversity Hotspots: Japan." conservation.org
  2. 環境省 (2023).「生物多様性国家戦略2023-2030」閣議決定. biodic.go.jp
  3. 環境省 (2020).「環境省レッドリスト2020」. env.go.jp
  4. Convention on Biological Diversity (2022). "Kunming-Montreal Global Biodiversity Framework." Decision 15/4, CBD COP15.
  5. 環境省 (2023).「自然共生サイト認定制度について」. env.go.jp
  6. TNFD (2023). "Recommendations of the Taskforce on Nature-related Financial Disclosures." Final Report, September 2023.
  7. Myers, N., et al. (2000). "Biodiversity hotspots for conservation priorities." Nature, 403, 853-858.
  8. UNESCO (2021). "Amami-Oshima Island, Tokunoshima Island, Northern Part of Okinawa Island, and Iriomote Island." World Heritage List.
  9. 生物多様性センター.「自然環境保全基礎調査」. biodic.go.jp

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